あなたのお子さんはギフテッド!?
ギフテッドとは
全米ギフテッド教育協会(National Association of Gifted Children)ではギフテッドの子どもたちを次のように定義しています。
「知的、創造的、芸術的、リーダーシップなどの分野、または特定の学問分野に高度な達成能力を示し、通常の教育機関が提供しないサービスや活動を必要とする学生、子供、または若者」
ギフテッドというと、アインシュタイン級のずば抜けたIQ(Intelligence Qiality)を持っている人と思われがちですが、実際にはその定義は広くIQだけでは計り知れない能力を持った人の事を示します。
実際何人ぐらいのギフテッド生徒がいるかというと難しいのですが、成績という側面ではトップ10%と言われています。ただ、ギフテッドは成績だけでは計り知れないので、人口割合では50人に約1人と言われています。実際にはギフテッド人口はかなり大きいと言えます。
全米ギフテッド教育協会によると、ギフテッドの子供たちの特徴として以下の項目が挙げられてます。
- 何年も先の学年レベルの教材を理解する能力を持つ。
- 学習習熟が速く、反復学習の必要がない。
- 旺盛な好奇心を持っている。
- 特定の事柄、トピックに特別な興味を持っている。
- 創造性に富み、アイディアや表現方法が多彩である。
- 風変わりまたは大人びたユーモアのセンスを持っている。
- 年齢不相応な感情の深さと感受性がある。
ギフテッドと認定されるには、これら全てに当てはまるという訳ではなく、これらの特徴に少なくとも一つ以上該当すればギフテッドとして注視し、ギフテッドとして才能が開花するよう、育んでいく努力が必要だということです。
一般的に皆様がお思いになるよりも、ギフテッドはかなり幅広い解釈が用いられています。
ギフテッドの3つの要素
前述しました様に、ギフテッドとは学業ばかりではなく、もっと幅広い基準を持ち合わせています。
また、その幅広さ故、ひとつの試験や確固たる基準でギフテッドを認定するのは大変難しくなっています。
ギフテッド教育の専門家ジョセフ・レンズーリ博士は、ギフテッドとは高い知能指数(IQ)に代表される平均以上の能力だけではなく、創造性、そして目的に対するコミットメント(集中力)の三つの要素があると定義しています。
平均以上の能力: Above average ability ― IQではなく”能力”
ハーバード大学教育学部の発達心理学の大家ハーワード・ ガードナー博士は、IQの値では個人の能力を十分表現し得ないと言っています。
IQは数学や国語から算出されますが、この能力とはそれから更に発展して、音楽などの芸術、空間相関関係、対人関係などあらゆる分野で測られるものとして、この能力の範囲を拡大しています。
それは「インテリジェンス」以上のもの、日本語でいうところの、「智恵」や「叡智」に近い定義だと思います。
つまり、ギフテッドとは一般的に言われる学力の枠から大きく拡大された、多様な能力を指します。
飛び級をしたりオールAを取ったりという学習能力だけでなく、音楽、芸術、体育などの分野、そして特殊な分野に対する突出した興味や学習能力、第二言語、第三言語などコミュニケション能力など、広く「能力」は定義されます。
創造性: Creativity
ギフテッドとして認められる重要な要素の一つとして、創造性が挙げられます。
創造性と言うと音楽や美術などの芸術面をお考えになるかもしれませんが、実際は科学、社会科学、コンピューター・サイエンス、そして一般の生活の上でも、あらゆる分野で創造性は発揮されます。
豊かな想像力、柔軟な思考、そして深い関心と情熱を持ち合わせているギフテッドの子どもたちは、単に「物を覚え学ぶ」という受け身の学習方法だけでは満足せず、常に何か新しいことができないか、何か新しい発見はないか、と考えを張り巡らせています。
そして、失敗を繰り返しながらも、新しいアイディアを創造することを楽しむ能力に優れています。
実は、この失敗を繰り返すという事に重要な意味があるのです。
ギフテッドがギフテッドとして育っていき、その創造性を発揮するには失敗を決して恐れない自信と勇気を育む事が大切です。
失敗から何を学ぶか、上手に失敗を繰り返しながら失敗を更に大きな原動力をして前進していく、その不屈の推進力が大切なのです。
集中力:Commitment
コミットメントは日本語に翻訳しにくいのですが、ギフテッド教育の分野では「集中してタスクを遂行する能力」と言えると思います。
IQ(Intelligence Qiality) に対し、EQ(Emotional Quality)という「心のIQ」と言われる指標があります。
ギフテッドの子どもたちは高いEQを兼ね揃え、自らの知的興味を満たすために、感情や誘惑をコントロールし、与えられた課題ばかりでなく、自ら設定した課題に対して集中して取り組む事ができます。
同学年の他の子供達と比較して精神年齢が高く、教科の学習に限らず、全ての学びに対して貪欲であり、自らモーティベーションを高め、集中力を発揮します。
「平均以上の能力」「創造性」「集中力」これら3つの要素の真ん中に位置するのがギフテッドの子どもたちという事になります。
ギフテッドは後天的に育てうる能力
特記すべきことは、これらの要素は後天的にも育て、伸ばしうる能力でもあるという事です。
もちろん先天的に並外れた能力を持ち合わる「超天才的」なギフテッドもいますが、ギフテッドの「資質」のある子どもたちがこの3つの要素を伸ばしていく中で、顕著なギフテッドとして後天的に完成される子どもたちも沢山いるのです。
前出のレンズーリ博士は、「ギフテッドとは発展しながら形成されていくものであり、ポテンシャルのある子どもたちは励ましと時間、努力によってギフテッドに育てられていくものである。」としています。
私が勤務していたギフテッド教育に特化した私立学校では、入学の時点で必ずしもこの三つの輪の真ん中に属していなくても、そのポテンシャルがあると認められた子どもたちは入学が認められていました。
学校でギフテッドとして教育されていく中でその才能を伸ばし、本格的なギフテッドとして開花していく子供たちも大勢いました。
特記すべきこととして、学校では教員の指導や課題だけではなく、むしろ子供たち同士がお互いの才能を認識しあい、刺激を与え合いながら総合的にIQもEQも高め合っていったのが印象的でした。
また、追々お話していきますが、これらのギフテッドの生徒の中には、ADHDやアスペルガーとして認められているお子さんが多いのです。
日本では発達障害というとネガティブな響きがつきまといますが、実はギフテッドの生徒さんには発達障害を持ち合わせる生徒さんが多いのです。
発達障害をネガティブに捉えるのではなく、ギフテッドとしての長所に焦点を当て、その才能を開花させてあげながら、伸びる環境を整える事が必要なのです。
冒頭のご質問で「あなたのお子さんはギフテッド?」というのがありましたが、いかがでしょうか。
これをお読みになられているほとんど皆さんのお子さんは、ギフテッドの要素を持ち合わせていらっしゃるのではないでしょうか。
繰り返しますが、ギフテッドは後天的にも育てうる能力なのです。
要はご両親次第なのです。
ギフテッドの「資質」のあるお子さんたちの大切な才能を、是非顕著なギフテッドとして完成していきましょう。