積極的な選択肢としてのフリースクール
ギフテッドの子どもたちの積極的な選択肢として、フリースクールの活用についてお話したいと思います。
日本のお話をする前に、まず、アメリカのオルターナティブ型教育のお話をさせていただきますね。
アメリカではフリースクールとは呼ばずに、一般的にホーム・スクールと呼ばれています。
学校に通うのではなく、自宅でオンライン(バーチャル・スクール)で授業を受け、単位を取得していくシステムで、各州が公的なオンライン・スクールを運営しています。
アメリカは高校まで義務教育なので、高校卒業まで無料で公的オンライン・スクールに通うことができます。
州によって高校卒業認定の単位やボランティア活動などの規定は異なりますが、基本的に単位制なので、途中から通常の学校に戻したり、場合によっては両方並行して通うことことも可能です。
フロリダ州にはFLVSというバーチャル・スクール(フロリダではバーチャル・スクールと呼びます)のシステムが公的に運用されていて、このプログラムの子どもさんたちともご縁がありましたので、そのお話をさせて頂きます。
バーチャル・スクールを選ぶ理由
バーチャル・スクールを選ぶ理由には大きく分けて4つのグループがあると思います。
まず第一は、居住している地域の学校に不適合の場合。
アメリカは同じ州でも地域によってカリキュラムが違ったり、教育程度が極端に違いますので、「受け入れ難い」ほど、公立学校のレベルが低かったり、学校が荒れている場合があります。
適当な私立学校が周辺になかったり、私立に通う経済力がなかったりする場合には、公的なバーチャル・スクールを選択することにより、安心して各自の実力相応の授業を受け、進級していくことができます。
第二には、日本にもみられるように、集団行動が苦手な子どもたちや、より個人的な指導が必要な子どもたちが、家庭からバーチャル・スクールで学んでいます。
第三は、学年に関係なくどんどん飛び級をしたい、ギフテッドの子どもたちです。
公立学校でもギフテッド・プログラムが用意されているところも多く、数学や英語に関しては実力に応じて上級のクラスの受講ができる場合がありますが、基本的には「学年」単位になっているため、飛び級が自由にできない場合があります。
どんどん飛び級して早い学齢で大学に入る希望のある子は、積極的にバーチャル・スクールを活用して、独自のペースで進級していきます。
また、若くして大学に入学はしないまでも、早く高校のカリキュラムを終えてしまい、大学進学前1-2年、海外で過ごしたり、起業したり、科学の実験に没頭したりと、独自の「生き方」をする子供たちもいます。
第四に、日中のほとんどをスポーツや芸術などの英才教育のトレーニングをし、学業はバーチャル・スクールで単位を取得という、また別のタイプのギフテッドの子どもたちです。
フロリダの場合は、温暖な土地柄からテニスやゴルフの英才教育の子ども子供たちがいました。この様に、才能を伸ばすための選択肢として、バーチャル・スクールを選んでいるのです。
バーチャル・スクールの卒業生
気になるバーチャル・スクール卒業生の進学先なのですが、アメリカの入試では統一試験の成績は選考基準のほんの一部で、人とは違う経験、一芸に秀でている才能、そして苦難を乗り越えたストーリーなどが認められるなど、選考基準には学力以上のものが求められ、多様性が重視されています。
ただ、在学中の成績は入試の際に大変重視されますので、バーチャル・スクールと言えど、採点や成績の基準は厳しく、優秀な成績を修めるにはそれなりの努力が必要です。
一般的に公的なバーチャル・スクールはそれなりの基準を満たして評価を得ているので、大学入試の際に特に不利になる事はありません。
それよりも、バーチャル・スクールに通いながらどんな生活をしていたか、の方が入試に影響があると言えます。
ちなみに、地元の高校には一切通わずバーチャル・スクールで高校の課程を勉強する一方、ネット・ビジネスを創業したという女の子が、何と超難関のハーバード大学に入りました。

周辺の学校や地域との連携 「キーワードは柔軟性」
アメリカの特殊事情として、学齢によっては子どもだけで家で学習する事が法律で禁止されています。
フロリダの場合は両親が共働きの場合でも法律上、13歳までは子どもを家に残せません。
そういう理由で親御さんがグループをつくって交代で私塾のようにして子どもを預かりあったりしていました。
家庭からバーチャル・スクールに参加している生徒同士の交流会やプロジェクトも用意されており、サポート体制は充実していました。
また、専任のサポート教員がいるバーチャル・スクール用の施設が用意されている場合もあり、そちらに通いながら独自に学習をするという事もできました。
このスタイルが日本のフリー・スクールに一番近いでしょうか。
求められる柔軟な対応
私の勤務していたギフテッドの学校では、基本的にはバーチャル・スクールに属している子でも、他の子どもたちと交流をとりたい、テコンドーを学びたい、ピアノのレッスンをして発表会に出たい、遠足や運動会などの学校行事に出たいなど、様々な理由でパート・タイムで学校に来る子たちもいました。
学校もバーチャル・スクールに通う子には大変柔軟な対応で子どもたちの教育に取り組んでいました。
この「柔軟な対応」というのが、ギフテッドを育てていく上で大変重要な鍵になります。
また、逆に校内の中学生の生徒でも高校の数学が受講できるように、飛び級の子どもたちに対応できる様にバーチャル・スクールを利用していました。
アメリカではこの様にバーチャルスクールが積極的な選択肢として各州で公的に提供されています。
日本にはまだ公的なバーチャル・スクールはなく、まだまだアメリカの様なシステムに至るまでにはハードルがありそうですが、フリースクールを積極的に活用するという選択肢はあるのではないかと思います。
思い切って日本の画一的な文化概念から飛び出せば、フリースクルールは大変ラッキーな選択肢かもしれません。
ギフテッドのお子さんでしたら、それぞれの趣味嗜好に没頭しながらも、同時に公文などで実力をつけ、オンライン学習を重ね、早々に大検を受けることができます。
カリキュラムに自由度が高いので、余った時間で語学を学んだり、趣味や特技を伸ばしたり、学期中の海外留学も可能になります。
フリースクールから大検を受け、海外の大学への進学も視野に入ってきます。 日本の学校教育の枠に入らなくても、独自の価値観でお子さんを支援し、その才能を伸ばしていくことは充分可能です。
学校教育の枠に入れないこどもたち、彼らこそが無限大のイノベーションの可能性をもつ、ダイヤモンドの原石ではないでしょうか。
フリースクール出身者が日本を牽引する時代が来る
都内のフリースクールに何校かお邪魔する機会を得ました。
そしてどちらの学校の先生も、デコボコに成長しているお子さんたちに対して、本当に愛深く、粘り強く、我が子のように接していらっしゃいました。
あんな先生方に丁寧に指導して頂けるだけでも、フリースクールは人生の宝だと思います。
フリースクールの親御さんのみなさん、どうかご安心ください。
枠になんか入れないほど、皆さんのお子さんの個性は芸術なのです。
せっかくフリースクールにいらっしゃるのならば、積極的な選択肢として十二分に活用なさってはいかがでしょうか。
親御さんがお子さんの才能を信じ、お子さんと一緒に未来を作ってはいかがでしょうか。
是非是非、積極的な選択肢として胸を張ってフリースクールをお選びになって、お子さんの才能をどんどん伸ばしてあげてください。