ギフテッドの3つの要素
ギフテッドとは学業の成績ばかりではなく、もっと幅広い基準を持ち合わせています。
また、その幅広さ故、ひとつの試験や確固たる基準でギフテッドを認定するのは大変難しくなっています。
ギフテッド教育の専門家ジョセフ・レンズーリ博士は、ギフテッドとは高い知能指数(IQ)に代表される平均以上の能力だけではなく、創造性、そして目的に対するコミットメント(集中力)の三つの要素があると定義しています。
平均以上の能力: Above average ability ― IQではなく”能力”
ハーバード大学教育学部の発達心理学の大家ハーワード・ ガードナー博士は、IQの値では個人の能力を十分表現し得ないと言っています。
IQは数学や国語から算出されますが、この能力とはそれから更に発展して、音楽などの芸術、空間相関関係、対人関係などあらゆる分野で測られるものとして、この能力の範囲を拡大しています。
それは「インテリジェンス」以上のもの、日本語でいうところの、「智恵」や「叡智」に近い定義だと思います。
つまり、ギフテッドとは一般的に言われる学力の枠から大きく拡大された、多様な能力を指します。
飛び級をしたりオールAを取ったりという学習能力だけでなく、音楽、芸術、体育などの分野、そして特殊な分野に対する突出した興味や学習能力、第二言語、第三言語などコミュニケション能力など、広く「能力」は定義されます。

創造性: Creativity
ギフテッドとして認められる重要な要素の一つとして、創造性が挙げられます。
創造性と言うと音楽や美術などの芸術面をお考えになるかもしれませんが、実際は科学、社会科学、コンピューター・サイエンス、そして一般の生活の上でも、あらゆる分野で創造性は発揮されます。
豊かな想像力、柔軟な思考、そして深い関心と情熱を持ち合わせているギフテッドの子どもたちは、単に「物を覚え学ぶ」という受け身の学習方法だけでは満足せず、常に何か新しいことができないか、何か新しい発見はないか、と考えを張り巡らせています。
そして、失敗を繰り返しながらも、新しいアイディアを創造することを楽しむ能力に優れています。
実は、この失敗を繰り返すという事に重要な意味があるのです。
ギフテッドがギフテッドとして育っていき、その創造性を発揮するには失敗を決して恐れない自信と勇気を育む事が大切です。
失敗から何を学ぶか、上手に失敗を繰り返しながら失敗を更に大きな原動力をして前進していく、その不屈の推進力が大切なのです。
集中力:Commitment
コミットメントは日本語に翻訳しにくいのですが、ギフテッド教育の分野では「集中してタスクを遂行する能力」と言えると思います。
IQ(Intelligence Qiality) に対し、EQ(Emotional Quality)という「心のIQ」と言われる指標があります。
ギフテッドの子どもたちは高いEQを兼ね揃え、自らの知的興味を満たすために、感情や誘惑をコントロールし、与えられた課題ばかりでなく、自ら設定した課題に対して集中して取り組む事ができます。
同学年の他の子供達と比較して精神年齢が高く、教科の学習に限らず、全ての学びに対して貪欲であり、自らモーティベーションを高め、集中力を発揮します。
「平均以上の能力」「創造性」「集中力」これら3つの要素の真ん中に位置するのがギフテッドの子どもたちという事になります。
